興味深い。興味深いしか言えないっす。 よくこんな考察思いつきましたね~。いやあ、流石私のマスターだw 考察について何かコメントしたいんですけど、今のところ何も思いつきません(泣) 申し訳ない~(^_^;)
>この場合、のどかのAFが伝説と称されているのは、 世界パクティオー協会に寄贈されたのが比較的初期であったため。 とも考えることができます。
あ、これ良いですね。これでいきましょうw 先日のコメントレスで私が書いた根拠は適当過ぎだったので(笑)
何か思いついたら、またコメントしに来ますね(^^) でわっ。
【2006/07/12 21:22】
URL | テイル #0BLFb4Xs [ 編集]
おおおおおっ! いや、失礼しました、初めましてですね。 こういう燃える考察は個人的に非常に惹かれます。 そのうちネギまにサンジェルマン伯爵でも出てこないかなぁ(笑)。
私も微力ながら単行本を見直してみようとおもいます。 なんだかテイルさんも含めて神奈川アーティファクト学会でも作れそうですけど(笑)。
【2006/07/12 23:05】
URL | 慧 #y2PbBi1I [ 編集]
・・・先生またやってくれましたね(´・ω・`) ちょっと!また皆に魔法かけてどうする気ですか?!(ォィ
いやー興味深いですね。・・・ 実際に元になるものがいたんですね、 確かに外国じゃ黒魔術結社なるものが多々あると聞きますが 確かに、魔術、呪術的な考えを主としている ブゥードゥー教とかも16世紀頃からと ローゼンクロイツが明るみになって間もない時に出来ましたし これは結構、有力かも。 いやーでもローゼンクロイツってのは始めて聞きました。
先生はもしや仏教、宗教とかそんなものに詳しいんですか? 僕の実家が仏教やってて一番親しい友達がクリスチャンだったり(よく話される) 個人的にも興味があるので 結構そういう宗教的な知識はまぁまぁあるんですがね・・・。 まぁローゼンクロイツは宗教じゃないのだろうけど、 似通った点がある宗教とかもあるので、ローゼンクロイツを 元にした宗教なんかあったりするかもしれませんね。(ないか
・・・なんか、また意味不明なこと言っちゃいましたが うんこの戯言程度に聞き流しといてください。
【2006/07/13 11:56】
URL | りゅーりゅー #- [ 編集]
すげぇぇぇぇ!!! だめだ、、、またしても、感動で、打ち震えました。。。。。
【2006/07/13 21:55】
URL | ペトロニウス #- [ 編集]
ほえええええ・・・・・・。 すごいですなー。こりゃあ全然思いつきませんでした・・・。 まさかローゼンクロイツが出てくるとは。いや、御見それしました。見事な考察です。
【2006/07/13 22:29】
URL | はし #- [ 編集]
20へぇ~ まず、これだけの解析ができるのがスゴイ、自分の無知さを感じます。
>千雨の疑問 一般の麻帆良学園関係者は気づいていない(強制認識魔法の効果?)のに対して、千雨は極度の現実主義者であるために、図らずも無意識に強制認識魔法をはねのけようとしているのかもしれませんね。だから疑問に思う、、、と。 >薔薇十字団員(魔法使い)育成の為の見えない大学である。 一般人の中にも魔法使い、またはそれに準ずる能力者が埋もれていると思われます。将来的に魔法使いの従者として、または魔法使いそのものとして世界を救う人材を密かに発掘し育てるのが薔薇十字団(≒麻帆良学園)である。
・・・と解釈させてもらいましたがどうでしょうか?
【2006/07/13 23:40】
URL | サラリーマン謙太郎 #Q2fL/ncU [ 編集]
初めまして。檻と申します 初めまして。考察は面白かったです 私の考えたことをコメントさせて頂きます
チャチャゼロが言っていた100年戦争が1339年~1454年なので、エヴァがいた頃がだいたいこのあたりになると考えられます。つまりこの年代の中でかなり大きな魔法組織が完成していたと考えられます。つまり年代的に少し無理があると考えます。エヴァの会話から、「頭が固い」といっていたので、相当理想えが固まっている組織だと考えると、もっと前から結成されていると考えられます。また、あの信条を見る限り世界のために尽くそうとしている集団のように思えます。それからすると、なおさら結成が近いと強力な協力者が欲しいはずです。ならばここでエヴァを仲間に入れるのが普通だと考えます。 これは吸血鬼と言割れていたことや、漫画の話の描写から、戦争の兵士が横たわっているシーンを描いていることから、エヴァがあの100年戦争にかかわっていると考えられます。そうすると仲間を殺された、ローズクロイツにしてみたら恨みの対象でもあるので、仲間に入れなかったと考えられもします。
まだまだ何かわかるかもしれませんので、私も調べてみます。なにかわかり次第連絡します
【2006/07/14 00:12】
URL | 檻 #j.vJtXHU [ 編集]
高揚しました。 久しぶりに本当に良い考察を読んだ感じっす。
【2006/07/14 12:12】
URL | ペペロニ #- [ 編集]
初めまして。 色々と気になる部分があったので、ちょっと突っ込んでみますね。
>のどかのAFが伝説 ただ初期の頃に寄贈されただけならば、存在は知られていて、ただ単に「珍しい」で終わると思うのですよ。 のどかがあのAFを持つ条件というものがあって、その条件が異常なまでに難しい。 過去の歴史を見ても持っていたと思われる人物がそう多くはない。他の所持者と比べると格段に少ないと思うのです。 だからこそ伝説といわれる。 だから愛衣は今までAFとして見る人がいないほど条件が厳しく、その条件を一介の女子中学生が満たし、呼び出されたいどの絵日記をみて伝説と表現したんじゃないかなぁ、と。
まあ、根拠もなにもないですが、伝説と言われる理由をちょっと考えてみただけなんですけども。
【2006/07/14 13:24】
URL | 水音 #- [ 編集]
初めまして! すごい考察の数々・・・感動しました! これからもがんばってくださいね^^ かげながら応援していますw
【2006/07/15 12:58】
URL | ちょぼ #CGSys/Bo [ 編集]
アンドレーエについて どうもはじめまして、蓮葉零士と申すものです。 貴君の見解、なかなか考えさせてくれるものでした。 おかげで自分の中に在ったものがだいぶ整理され、論として構築されて いきました。 ところで、アンドレーエって、Johann Valentin Andreae(1588~1654)のことですか? 薔薇十字団というのは、この人の著書『化学の結婚』にて語られる架空の 集団です。後に自伝でそういってます。 そして薔薇十字文書の残り二つ『友愛団の名声』と『薔薇十字団の各拍』 の執筆にも関与していたそうです。 しかしこの三冊があまりによく出来ていたため、真に受けて薔薇十字団を 探す者達、自分達で薔薇十字団を作り出す者達が現れたのです。 虚構といえども『本物』の物語は時代を動かすということでしょうか。 まあネギま世界においては実在した可能性もありますし、実在しなかった としても、魔法世界が自ら下部組織を作り出すべく、アンドレーエらと共に 考案したという可能性もあります。つまりオリジナルの薔薇十字団は実在 しないが、これ以降に登場した薔薇十字団の後継者たちは、魔法世界の 下部組織という可能性もありえるわけです。 次に、ここから論を展開させてみます。
【2006/07/15 15:31】
URL | 蓮葉零士 #SFo5/nok [ 編集]
錬金術について さて、語りたいことはいくつもあるのですが、まずは一つ目。 かの薔薇十字団の学術的系譜について考えてみようと思います。 「おいちょっと待て! お前薔薇十字団は架空の組織だって言ってたじゃねえか!」 はい言いました。 しかしこの薔薇十字団はアンドレーエらが綿密な設定の下に作り出した組織。 そういった歴史的背景もきっちり考慮された、恐ろしくリアルな組織なのです。 でなければ薔薇十字運動が政治問題にまでなるでしょうか。 そしてネギま世界に魔法が存在する以上魔法界の存在も考慮されているでしょう。 それに薔薇十字思想はアンドレーエらが提唱した実在の思想なのですから。 そういう意味では、正しくは『薔薇十字思想の学術的系譜』というべきでしょうか。
さて、この薔薇十字思想を提唱した者達は、16世紀のドイツはチュービンゲンに存在したルター派の学者グループであるというのが現代の定説となっております。 この薔薇十字思想とは、キリスト教神秘主義の一派・フィオーレのヨアキムの流れを汲む空想的革命思想と、かのパラケルススによって復活を遂げた錬金術及びヘルメス哲学思想の融合の末に生まれたものであります。 ゆえに、薔薇十字思想の源流をたどるならば、錬金術とキリスト教神秘主義について追いかけねばなりません。それはネギま世界の魔法使い達の思想の系譜について知ることにもなるでしょう。
では、まずは錬金術から。 錬金術とは、単なる金属変成の技術ではありません。宇宙のありようを解き明かし、神との一体化を図る思想なのであります。ここらへん、東洋の天地自然との一体化を図る仙術などの思想と似たところがありますね。 そしてその中でも、物質的な金属変成を否定し神との一体化を精神もしくは魂の変容をもってなさんとする思想をヘルメス哲学というのです。 錬金術の源流は残念ながら正確にはわかっていません。東洋と西洋、どちらが先かは謎に包まれています。 たまたま類似した思想がエジプトと中国で生まれただけとする説もあります。 ただエジプトと中国、どちらも紀元前から錬金術があったのは間違いないようです。 とにかく西洋錬金術の源流をたどれば必ずエジプトに行き着きます。そこからは謎。 西洋錬金術の母体、ギリシャ錬金術はヘレニズム期にアレクサンドリアを中心として、医学などの実用的技術とギリシャ哲学やグノーシス主義などの各種思想が結びついて、成立したと考えられています。 錬金術のシンボルとして使われるウロボロスの輪や、例の円に十字などのシンボルはグノーシス主義に由来するものです。 なお最も著名な錬金術書群『ヘルメス文書』の著者名『ヘルメス・トリメギストス』とはエジプト神話のトトとギリシャ神話のヘルメスの合成神で、もちろん架空の存在。書の権威付けのためにこの名が用いられました。 クリスチャン・ローゼンクロイツもこの例になぞらえて考案された人物ではないかと。 そして錬金術は、聖なる学問であり、術であり、これを俗人にいたずらに知らせてはならない秘密の教えでありました。 ここに、魔法世界の魔法隠匿思想の源流を見ることができるのではないでしょうか。 それに現代西洋魔術体系の上位古代語魔法にもギリシャ語が用いられています。 そんなことも考えると、西洋魔術師達の思想の源流もまたエジプトで成立したというのはうがち過ぎでしょうかね?
ま、それはさておき。 その後、錬金術の中心は東ローマ・ビザンチンからアラビア圏へと移っていきます。 そしてアッバース朝の時代、バグダードは東西より人が集う世界有数の交易都市でありました。もちろん学問においても例外ではありません。紙もこの時代に唐よりアラビア圏へと伝わりました。もしかしたらこの時代のこのバグダードで東洋錬金術と西洋錬金術の融合が行われたのやも。そして西欧へ錬金術は伝わっていきます。 最もアラビア圏から西欧への錬金術に代表される各種学問等の本格的な流入は、十字軍の時代(1096年から約200年間)を待たねばなりませんが。 そして地中海貿易で富み栄えたイタリア商人達のバックアップの下、14世紀~16世紀のイタリア・ルネサンスへとつながっていきます。この時代にギリシャ・ローマ由来の魔法体系とケルトや北欧の魔法体系が融合して誕生したのが現代の西洋魔術体系ではないかと。推測ではありますが。 百年戦争(1337~1453)の時期と、そしてエヴァがその名前からおそらくはイギリスの出身であることと、彼女が「何不自由ない生活を~」といっていることから、エヴァが城で生活していたのは1399年のランカスター朝成立から1412年のイングランド軍のノルマンディー上陸までの時期であると推測できます。この時期イングランドの政情はとりあえずの安定を見ていましたので。この推測が正しければちょうどイタリア・ルネサンス中期。時代的にも問題ないはずです。 次はおそらくネギま世界の魔法使いの実践主義の源流、パラケルススについて。
【2006/07/15 21:48】
URL | 蓮葉零士 #SFo5/nok [ 編集]
パラケルススについて さて、いままで錬金術の変遷を追ってきて、ついにルネサンス期へと到達しました。 そして、かの天才的錬金術師兼医学者であった、おそらくはネギま世界でも伝説の人物、パラケルスス(Theophrastus Philippus Aureolus Bombastus von Hohenheim 1493~1541)の登場によって、西欧の錬金術も含めた自然科学に、そしておそらくはネギま世界の魔法にかんしても、大いなる変革がもたらされます。
医学者として数多くの業績を残しました。有名なところではチンキ剤について。 錬金術師としては錬金術に医学的な概念を導入したことで知られております。 西欧錬金術の『塩』と『水銀』と『硫黄』の3元素説はこの人の提唱したものです。 そしてこの人の学説によって、今まで無機的な分野で主に用いられていた錬金術で、人間の身体や霊魂を考察することができるようになったのです。 この事はネギま世界の魔術史においても大きなパラダイムシフトとなったでしょう。 その結果、今まで経験則によって形造られていた治癒魔法の体系的研究が始まり、治癒魔法研究はその歩みを大いに速めることとなったのではないでしょうか。 そしてこの人は魔術を医療目的のために利用していたことでも知られております。 魔術・錬金術・科学の三つを大いに駆使して、彼は医療行為をを行っていたのです。 こういった実践本意の思想、おそらく彼こそが現代の魔法使いの思想の源流に位置する人物ではないでしょうか。 そして彼の思想的系譜たる学派の一派が薔薇十字思想へとつながっていくのです。
とにかく型破りな人物で、プライドが高く、妥協が出来ない人物だったようです。 それゆえに伝説や逸話が多く、暗殺されたなんて話まであるほど。 閉鎖的だった西洋医学界に風穴を開け、変革をもたらした革命児・パラケルスス。 その言動で数多くの人間を敵に回しましたが、数多くの味方もいたようです。 ここからはネギま世界の話ですが、彼は本当に暗殺された可能性があります。 実際五百年以上たった現代でも、古代錬金術師達の隠匿思想は色濃く残っているのです。医療のためなら惜しげもなく魔術を使ったであろう医学者パラケルスス。 現代以上に閉鎖的であったろう魔法界とは真っ向から対立していたでしょう。 まあ、魔法界=古代錬金術思想が成立するという仮定での話ですが。 案外このパラケルススが超 鈴音のモデルの一人であるのやもしれませんな。
そして彼の同時代人としては、ルター(Martin Luther 1483~1546)が存在します。 ルターの死後もカトリックとプロテスタントの対立は続き、1614年においてもドイツは宗教対立の真っ只中でありました。 そんな宗教対立のさなか、アンドレーエとルター派の学者達によって薔薇十字文書『友愛団の名声』が執筆され、出版されることとなるのです。 薔薇十字思想が既存の旧勢力に対する革命的な思想を有するのは、学者グループ達がプロテスタントであったことと無関係ではないでしょう。 さて、次はキリスト教神秘主義についていってみようと思います。
【2006/07/16 23:44】
URL | 蓮葉零士 #SFo5/nok [ 編集]
本当にたくさんのコメント有り難うございますm(__)m >>蓮葉零士さん とても貴重な情報提供 ホントに有り難うございます(涙)
コメントの途中で遮ってしまって申し訳ありませんが、 本当に貴重な情報なので、コメント欄で済ますのがもったいないと思うのです。 もし自分のサイトやブログをお持ちでないのなく、ご迷惑でないのならば、 当ブログの記事に文を掲載させていただいてよろしいでしょうか?
【2006/07/17 08:33】
URL | ウィル #jxzyCluI [ 編集]
キリスト教神秘主義について どうも長々と失礼しております。圧縮しねーとな。 サイトもブログも持っとりません。飛躍した論理展開や短絡的なところも多々ある、こんな冗長な文章でよろしければどうぞ引用してやってください。
さて、次にキリスト教神秘主義ですがこれにも源流と呼ぶべきものは存在します。 それはグノーシス主義と新プラトン主義です。 もっとも、およそ西欧の神秘主義思想においてこの二つの影響下にない思想など、皆無とすら言えるでしょうが。キリスト教カバラですら例外ではありません。
グノーシス主義は古代神秘思想の一つで、1世紀ごろにパレスチナで成立した思想で、錬金術や新プラトン主義と相互に影響し合い、そしてキリスト教の教義を取り込んで、グノーシス派キリスト教と呼ばれる、原始キリスト教の時代からキリスト教において常に異端であり続けた宗派を生み出しました。聖人に列せられている当時のギリシャ教父の中にもグノーシス派の指導者と目されているものもいるそうで。かのイスラム教の開祖ムハンマドに聖書の知識を与えたのもグノーシス派の修道士であったといいます。事実イスラム教の教義にはグノーシス派の影響が見られます。 聖書研究の資料として『死海文書』に次ぐといわれるかの『ナグ・ハマディ文書』も、グノーシス派の書です。もちろんそれだけではありませんが。
先にも挙げましたが、グノーシス派は原始キリスト教の時代から異端でした。 新約聖書にもグノーシス派の導師シモンが大いなる敵対者として登場します。 もちろん、その多くは彼を、そしてグノーシス派を貶めるための捏造でしょうが。 この思想は諸派ありますが、自己救済による神との合一を唱えていることなどが共通の特徴として挙げられましょう。これは錬金術などにも共通する特徴です。 新プラトン主義も含め、これらは相互に影響を及ぼしあっていました。 ただ錬金術と異なり、キリスト教の教えを取り込んだゆえか、積極的に布教していたようです。ただ弾圧がひどくなってくるにつれ、地下に潜伏していったようですが。 まあとにかく原始キリスト教の時代からグノーシス主義は弾圧され続け、ひっそりとしかし確実に生き延びました。そして数多の神秘主義思想に影響を与えたのです。 西欧へのキリスト教伝来の裏でひそかに伝来し、各地へ伝播したと思われます。
さてさて、次に新プラトン主義について。 新プラトン主義とは、古代ローマ時代の哲学者、アンモニウス・サッカスが提唱したプラトン哲学を発展させた思想です。弟子のプロティウスが名付けました。 アンモニウス・サッカスは、自分の教えはそれを授かるに足ると証明された人間にしか授けてはならないといい、全ての弟子達にそれを誓約させたそうです。 そしてプロティウスもその誓約通りに、その教義を書物にしようとはしなかったのですが、晩年になって弟子や友人らの要望によって執筆を開始したそうです。
ご存知のとおりプラトン哲学とは、我々の住まう物質界の上にイデア界を置き、この世界はイデア界のデッドコピーとする哲学です。そしてこのイデア界は感覚的に認識することは出来ず、ただ理性を持ってのみ認識することが出来ます。 まあプラトン哲学の説明はこれぐらいにして、新プラトン主義について。 新プラトン主義はこのイデア界以上の究極の原理を求めました。 その結果、あらゆるものを、存在という概念ですら超越した『一者』があり、全てはここから多様化して生じた、とする宇宙論です。これは錬金術やグノーシス主義などとも共通する宇宙論であります。これらの思想内における神の定義でもあります。 この『一者』へと回帰し、合一を果たす。それがこの思想の究極的な目標です。 そして、グノーシス派やヘルメス哲学などの数多の神秘主義思想にとってもまた、これは究極目標でもあります。
さて、グノーシス主義も新プラトン主義もヘルメス哲学も自らの内面を改革することで魂の救済をなそうとする哲学です。ゆえに孤立主義は当然の帰結であります。 おそらく魔法界本国の孤立主義の根源はここらへんにあるのではないかと。 しかしこの自己改革思想を外界へと適用し、革命思想へと発展させていった者たちがいました。その一派が薔薇十字思想なのです。 ではその革命思想の理論的根拠としてよく転用されたある思想について論じます。
フィオーレのヨアキム(1135~1202)は神学者です。最もこの時代神学者とは哲学者とほぼ同義ですが。幻視という神秘体験を経て修道僧となった人です。 彼の思想は、聖書の「黙示録」などの象徴や寓意を、現在に至るまでの歴史的事実と結びつけて解釈する傾向を持っていました。 その中でも思想史的にみて極めて重要なのが、しばしば革命思想の理論的根拠として転用されたアタナシウス派キリスト教の三位一体説についての解釈です。 例の父と子と聖霊と、ってやつです。これに当てはめて人類の歴史を分類しました。キリスト以前の『父の時代』、キリスト以降の『子の時代』、そして『楽園』が地上に現れ、既存の権力構造が全て崩壊する来るべき未来『聖霊の時代』と三つにと。 彼の解釈は既存の権力構造が崩壊するのはあくまで『楽園』が地上に現出した結果なのですが、逆に既存の権力構造の崩壊によって地上に『楽園』が現出するという解釈も可能です。これが千年王国思想などの革命思想へとつながっていくのです。 これ以降彼の解釈は革命思想の理論的根拠として度々利用されることとなります。 この思想との融合により、ヘルメス哲学の『精神の変容』を外界を対象として適応させた革命思想が生まれ、それらのうちの一つが薔薇十字思想なのです。
【2006/07/17 15:10】
URL | 蓮葉零士 #SFo5/nok [ 編集]
イエズス会について 最後に、薔薇十字思想の異母兄弟とでも言うべき組織、イエズス会について。 イエズス会、皆さんもこの名は歴史の授業で聞いたことがあるはずです。 かのイグナチオ・デ・ロヨラ(Ignacio Lo'pez de Loyola 1491~1556)が中心となって、 1534.8.15にモンマルトルで創設されたカトリックの男子修道会です。 彼らイエズス会が中心となった対抗改革により、カトリックは復活を遂げたのです。
さて、ここで何故イエズス会かといいますと、このイエズス会は時々謀略結社のように言われることがありました。もちろんそれはフリーメーソンやユダヤ陰謀説同様にヨタ話の類ではあるのですが、全く根拠のない話でもありません。 イエズス会は、プロテスタントの宗教改革に対して行われたカトリックの対抗改革の中軸とでも言うべき存在でした。プロテスタントになった信者をカトリックに復帰させたり、新たにカトリック教徒を増やすべく世界中に宣教師を派遣したり。 こういった活動において、政治権力との駆け引きは不可欠であり、そのためには諜報活動が必要不可欠であります。実際、プロテスタントに成りすましたスパイを各国に送り込んでいました。こういった活動の結果、例の陰謀説が生まれてきたのです。 まるで魔法使い達の組織ですな。
そしてこういった諜報活動の一環として、薔薇十字団の黒幕はイエズス会ではないかという憶測が生まれたことすらあります。もちろんそれはありえません。 薔薇十字思想はプロテスタント、イエズス会はカトリック。不倶戴天の敵どうし。 たとえば薔薇十字団の団章たる薔薇十字章も、ルターの白薔薇と黒十字の紋章がモデルと思われるからです。薔薇十字運動もその勢力が大きかったのはプロテスタントの国で、フランスなどのカトリックの国では弾圧や迫害を受けました。 こんな具合に薔薇十字運動はプロテスタントの影響下にあった活動でした。 ならば何故こんな憶測が生まれたのか。
先に記した通り、イエズス会は政治的諜報活動を行っておりました。そこから、フリーメーソンなどの秘密結社がプロテスタントを混乱させるための作戦ではないかという噂が生まれたのです。 そしてちょうどこの時期、ジャコバイト運動という政治活動がありました。 U.K.の名誉革命において追放された、ステュアート朝ジェームズの子孫をU.K.の王に据えようという運動でして、このジャコバイト運動を行ったジャコバイト派にはフリーメーソンの会員が多く、フリーメーソンを利用した資金集めすらやってました。 そしてこのジャコバイト派には、カトリックの信者が多かったのです。 そこから、イエズス会がU.K.を再びカトリックに戻すためにジャコバイト運動を盛り立てているという憶測が生まれ、その結果イエズス会とジャコバイト運動とフリーメーソンが結び付けられてしまったのです。イエズス会とフリーメーソンの間に交流が合ったとする説もありますし。そしてフリーメーソンと薔薇十字運動の間にも結びつきがあったことや、ジャコバイト運動にあった神秘主義的面から、イエズス会と薔薇十字運動が結び付けられるということになったのです。 しかもややこしいことに、諜報活動の一環として、薔薇十時の紋章を借用したこともあるそうな。いやはや。
ただイエズス会には薔薇十字団のその性質に似たところがあるのも事実です。 かのロヨラも含め、イエズス会の形成にかかわった修道士たちがヘルメス哲学などの神秘主義思想の影響を受けていたからです。錬金術に傾倒した人も居ます。 さらにイエズス会は学問にたいする考え方も極めて進歩的・革新的で、ガリレオが木星の衛星を発見したときに即座に望遠鏡でそれを確認し、地動説に対して同調的な見解を示した修道士がいたくらいですから。 そしてイエズス会の世界的宣教と並ぶ大きな業績として、大学などの高等教育機関を世界各国で運営したことが挙げられます。ロヨラの死の時点でイエズス会は全部で74もの大学を運営していたのですから。現在でも世界中にイエズス会の運営する大学が存在しています。 最後にイエズス会の主要な活動の三本柱を挙げましょう。 研究活動も含めた教育活動、社会正義活動、そして宣教活動です。 これは薔薇十字運動とも共通し、そして魔法使いの活動内容とも合致します。 おそらくネギま世界における悠久の風などの様に表の顔を持っている魔法組織の中で最大の規模を誇るのは、このイエズス会ではないでしょうか。
そしてイエズス会は創設者の一人であるロヨラが過去軍人をやっていたためか、当時の修道会としては実に革新的で、実に完成された組織だったのです。 それゆえに、イエズス会以降に結成された薔薇十字系の団には、イエズス会とよく似た組織構造をとっているものが少なくありません。 こういったややこしい数々の状況ゆえに、まさに犬猿の仲、不倶戴天の敵どうしであるはずのイエズス会と薔薇十字運動が結び付けられるようになったのです。 ヘルメス哲学などの神秘主義思想を父とし、カトリックとプロテスタントを母として生まれた異母兄弟たるイエズス会と薔薇十字運動。 これこそまさに、近親憎悪、同族嫌悪というやつなのでしょうな。
さて、薔薇十時運動の思想的系譜を追いかけ、ネギま世界の魔法使いの思想的系譜を間接的に追いかけてきたわけですが、なんかグダグダの感がいなめません。 しかしこういった思想的な系譜を追いかけたおかげで、以前前から自分が考えていた日本の魔法使いの歴史的背景をより立体的に捉えられるようになりました。 これもきっかけを与えてくださった貴君の考察のおかげです。 ありがとうございました。 では、またの機会に。
【2006/07/17 18:18】
URL | 蓮葉零士 #SFo5/nok [ 編集]
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